「ゆっくりピカソ」

ゆっくりと、アート鑑賞してみませんか?

月に1度くらい、美術館に行って、作品をじっくりと観てみてはどうでしょうか?

これが、ゆっくりピカソの提案です。


◆キーポイントは2つ。

① 1つの作品に10分(以上)かけること。

② 作品のタイトルや解説は後にして、まずは作品そのものだけをじっくりと観察すること。


作品鑑賞の仕方は我流で構いません。効果・効能はその人その人で異なります。できれば、「なんのために?」という目的意識も持たない方が良いでしょう。

◆手始めになにか参考が欲しいという人は、次の手順でやってみてはいかがでしょう。

① 作品全体を視界に入れて、作品の主題と思われる部分を見定める。だいたいの作品のイメージをつかむ(そのイメージ「第一印象」を心にとめおく)。

② いつ、どこで、だれが、何を、どのように(4W1H)を意識しながら、全体の状況を観察する。

③ 作品の主題(主人公)に関わる部分について、服装や持ち物、顔の表情などを観察する(解釈は保留する。即物的に観察する。大きさや数量など、数値化してみる。)

④ ③で観察した以外の部分、初心者の人は、物理的な意味で画面の四隅を意識して、観察する

⑤ ①の「第一印象」を証明するように、観察で発見した画面上の事実を積み上げて、作品を解釈する。「第一印象」に反する発見があった場合は解釈を修正する。

⑥ ⑤以外に他の解釈ができないか検討してみる

◆観察力を磨くには、次のキーワードに留意すると良いでしょう

① 五感で感じる:絵の中で、どんな音がしていそうか、どんな香りがしそうかなどイメージしてみましょう

② 記憶する:絵を後から思い出せるくらいに記憶してみましょう

③ 人に伝える:自分が見たもの、感じたことを人に伝えたり、ノートに書いてたりしてみましょう

参考文献

下記の本は、観察力や知覚力などを磨く上で様々な参考になります。とりあえず「10分」鑑賞してみて、もう少し知りたいと思った人にお勧めです。

『なぜ、 これがアートなの︖ 』1998/2/1  アメリア アレナス 

『学⼒をのばす美術鑑賞 ヴィ ジュアル・ シンキング・ ストラテジーズ:どこからそう思う?』2015/1/10  フィ リップ ヤノウィ ン

『観察⼒を磨く 名画読解』2016/10/6  エイミー・ E・ ハーマン

『知覚⼒を磨く 絵画を観察するように世界を⾒る技法』2020/10/21  神⽥ 房枝

『脳は「ものの⾒⽅」 で進化する』2017/11/2 ボー・ ロット

『ピアジェに学ぶ認知発達の科学』訳文:中垣啓2007(原文「Piaget’s Theory」 Jean Paget 1970)