ロット 目は見ていない
ボー・ロットの本『脳は「ものの見方」で進化する』の第一章「色の不思議」にドレスの色の話が出てきます。
話題のドレスはページ最下に掲載しています。この写真を見て、「青と黒のドレス」と思う人と「白と金のドレス」と思う人と意見が分かれた。というのです。同じ視覚情報でも、人によって見え方が違ってくるのは脳の働き云々・・・と説明があります。
先日のマザック美術館で撮ったフランスのロココ時代の巨匠ブーシェの作品、家に帰ってPCで見たら「色が変」と感じました。
画像編集ソフトを使って、色を調整し、「私が見た色」を再現しました。上下の写真をくらべると下の方が青っぽく見えると思います。会場では確かにこのように見えた。と私は思ったのです。実際の光は上の写真のようだったかもしれません。スマホのレンズが捉えた光の色は上のような色味だったのです。
どちらも、それぞれの基準で正しく判断したのだと思います。どちらが現実に近いのか、何が自分の「脳にとって現実」なのかを考えさせられます。ロットの話、脳は現実の色を見ているのではなく、過去の経験値を90%、今まさに五感から入ってきている情報を10%程度に見積もって、現実を認識しているということが少しわかったような気がしました。
※美術館で写真を撮らなくても、簡単に似たような体験は可能です。晴れた日に、外に出て、建物の北側の日陰の場所で物(帽子や服、靴、なんでも可)を撮影して、次に、南側の日向で同じものを同じように(できるだけ背景=地面などを同じにする)撮影して、そのあとPCなどで2枚を同時に並べて見てみると、光の色の違いがあること(見ている色の印象が違うこと)に気づきます。白っぽい物を撮影すると差がはっきりとします。
photo by Cecilia Bleasdale
https://en.wikipedia.org/wiki/The_dress
「blue black white gold dress」で検索すると出てきます。ウイキペディアによると2015年にネット上で話題になった写真です。
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