知覚を磨くヒント

シャルダンの名作『Pipes et vase à boire』です。

© 2010 RMN-Grand Palais (musée du Louvre) / Stéphane Maréchalle

フィリップ・ヤノウィンの作品選びのヒントに、「静物画を避ける」というのがあります。エイミー・ハーマンは、アートじゃなくても観察力を鍛えることはできると述べています。ヤノウィンは、「避ける理由」を明確には書いていませんが、作品から連想するする世界が広がり過ぎてしまうのだと思います。この絵を見てどんな物語を想像するかは見る人の自由です。だから、静物画は解釈の落としどころが決まりません。

画中に描かれた人や物にどんな意味を発見するかは見る人によって変わります。

神田房枝が「目のつけどころ」と言っているのは、作品全体の意味を変化させる可能性のある物や人に注目するということです。

「知覚を磨く」という作業は、ロットの意見を参考にすれば、「自分の常識を疑うこと」から始まります。物や人に対する意味づけをしているのは、ほかならぬ鑑賞者自身であることを意識するということです。

「知覚を磨く」には、自分が「こうだ」と思った解釈を脇に置き、個々の物や人が何を意味するのか、その可能性を吟味する工程が大切です。「静物画を避ける」というのは、裏を返せば、画中にある物品を注意深く観察すると、絵画全体の解釈が変わる可能性があるということです。

ハーマンは、万年筆などの物品よりも、アート作品の方が、要素の組み合わせが多様なため、知覚を磨くには良いと述べています。

Picasso Andante

「ゆっくりピカソ」絵画観察法。自力で「知覚力」を磨く絵画観察法の紹介

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