web改修 前の「観察の例」
2024年4月からページ削減にともない、もとの原稿を転載します。
絵画をどのように観察するのか、現存する作品を例に解説します。
作品は、エドゥアール・マネ作『フォリー・ベルジェールのバー』1882年 >>>こちら (別ウィンドウで表示)
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/8/8f/Edouard_Manet_004.jpg/1200px-Edouard_Manet_004.jpg
◆観察の例
作業時間の目安:10分間
[1]全体を見る…第一印象
お酒を飲む、大きなお店のカウンターに女性がいる。奥の方に、女性と男性がいる。更に奥には、2階席が見え、大勢の人がいる。
[2-1]細部を見る-1(話題の中心)
中心の女性は黒い服で袖と襟に白いレース、首にアクセサリー、襟が広く胸元まで肌が見える。胸元に花飾り。右奥の男女は何かを話している。鏡写しの姿のようだ。男性はシルクハットに黒い燕尾服。
[2-2]細部を見る-2(背景や隅のあたり)
シャンパンボトルが数本、リキュールが数本、オレンジ色の果物が10個くらい足つきのガラス製の器に盛られている。背景の大勢の人たちの詳細は読み取れない。画面左上にブランコに乗っている人の2本の脚と、ブランコが見える。ハイヒールのような靴。
[3]一歩下がって見る
画中に描かれていないもの、(鏡の中の男性の実像は?)鏡の中に登場する男性はどこにいるのだろうか?中心に描かれている女性は、その男性と何か話しているのだろうか?(鏡の向こうとこちらの関係は?)
[4]分析する(分析の一案)
19世紀後半、欧州の繁華街の大きな店の室内。大勢の人たちがブランコ乗りの曲芸を楽しんでいる。接客の女性は、華やいでにぎやかな雰囲気に合った服装に見えるが、表情はそれとは対比的に少しうつろに見える。(うつろな物として描かれているのは大勢の客の方ではあるが。)
◆ワークシートの使い方
作業時間の目安:20分間
①【描画とメモ】…記憶した絵を簡易に描き、要点をメモします。
②【第一印象】…第一印象を思い出して、書き留めます。
③【細部の一覧】…①を基に、重要な要素を書き出します。
④【細部の解釈】…③を基に、要素の意味を考察します。
⑤【全体の分析】…①~④を総合して分析し、作品全体を解釈します。
※⑤の解釈を②の第一印象と比較すると、自分の見方の癖(知覚フィルター)を理解する手助けになります。
※ワークシート記入後に作品の題名を余白(開いた所)にメモします。解説を読んだり、追加的な情報を検察したりすると、より深く作品を理解することにつながります。
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